eスポーツのファンなら、ほとんどの人がThe Internationalとは何なのか、参加するプレイヤーやチームにとってどんな意味を持つものなのか、よくご存じのことでしょう。しかし、eスポーツの人気は高まり続けており、最近興味を持ち始めた人も多いはずです。そのため、大会に関する背景情報を少しばかり紹介しておきたいと思います。
Dota 2 The Internationalとは?
The International(TI)は、eスポーツカレンダーにおける最大イベントの1つです。Dota 2の開発会社Valvaが主催する年に1度の大会であり、2011年に第1回のThe Internationalが開催されて以来ずっと、賞金額と視聴者数の記録を更新し続けています。
The Internationalが初めて開催されたのはケルンのGamescomで、優勝者が手に入れることのできた初の賞金は$1,000,000でした。The Internationalの初回では、Dota 2はまだ開発の初期段階でしたが、イベントはどんどん大きくなり、昨年の賞金総額は$24,787,916に至りました。
The Internationalは、Dota Pro Circuitシーズンの最終戦であり、2週間にわたって行われます。6年間シアトル(うち3回はKeyArena)を会場としてきましたが、今年はバンクーバーのRogers Arenaでの開催となります。
Dota 2 The Internationalの優勝者
The Internationalで優勝すると莫大な賞金が与えられますが、それだけではなく、The InternationalはDota 2で最も名誉ある大会だとも考えられています。大会へのエントリーは数年間で変化を遂げてきています。Valveは過去には招待制(若干の予選通過者枠あり)をとっていましたが、今年の出場要件はポイント制により決定されるものです。
Dota 2における精鋭中の精鋭だけが、The Internationalで勝利を手にします。下記は過去の優勝者一覧です。
 
| 年 | 場所 | 優勝 | 準優勝 | 賞金総額 | 
| 2011 | ケルン | Na'Vi | EHOME | $1,600,000 | 
| 2012 | シアトル | Invictus Gaming | Na'Vi | $1,600,000 | 
| 2013 | シアトル | Alliance | Na'Vi | $2,874,380 | 
| 2014 | シアトル | Newbee | Vici Gaming | $10,923,977 | 
| 2015 | シアトル | Evil Geniuses | CDEC Gaming | $18,429,613 | 
| 2016 | シアトル | Wings | Digital Chaos | $20,770,460 | 
| 2017 | シアトル | Team Liquid | Newbee | $24,787,916 | 
 
 
 
 
The International 2018:大会形式
Dota 2の大型イベントは、予選の過程から大会形式まで、数年間で若干の変遷をたどってきました。現在の形式は2016年から続くものですが、昨年は競い合うチームの数が18チームにまで拡大されました。
参加18チームは、2つのグループに分かれます。グループ内の全チームが、2セットマッチラウンドロビン形式で各チームと対戦します。各グループの上位4チームが上位ブラケットに、5位から8位までのチームが下位ブラケットに進み、最下位チームは敗退となります。下位ブラケットの初戦は1セットマッチですが、他は3セットマッチの勝ち抜き戦で、優勝決定戦は5セットマッチです。
The International 2018を制するのは誰か?
The International 2018のアウトライトウィナーに対するオッズでは、かなり優勝に近いとみられるチームは3組(Virtus.Pro、PSG.LGD、Team Liquid)ですが、他のチームにも大いにチャンスがあります。ピナクルのThe International 2018ウィナーオッズにおける上位10チームが、こちらです。
 
| チーム | オッズ* | 
| Virtus.pro | 4.23 | 
| PSG.LGD | 4.66 | 
| Team Liquid | 5.02 | 
| Evil Geniuses | 8.82 | 
| Team Secret | 11.52 | 
| Vici Gaming | 11.74 | 
| Newbee | 13.17 | 
| Fnatic | 17.70 | 
| OC | 19.05 | 
| Mineski | 20.71 | 
 
 
 
 
Virtus.Pro 
ロシアのチームVirtus.pro(4.23*)がThe International 2018で期待される理由は簡単です。このチームは、Pro Circuitで12,372ポイントを稼いだ世界トップのDota 2チームだからです。RAMZES666、No[o]ne、9pasha、Soloが2016年からチームの中核を構成してきましたが、今年の初めにRodjERが参加したことで、チームはさらなる高みへと進んでいます。
The International 2018のアウトライトウィナーに対するオッズでは、かなり優勝に近いとみられるチームは3組(Virtus.Pro、PSG.LGD、Team Liquid)ですが、他のチームにも大いにチャンスがあります。
2017年の最後から2018年中盤までの間に、Virtus.proは5つの主要大会(ESL One Hamburg、DOTA Summit 8、ELS One Katowice、The Bucharest Major、ESL One Birmingham)を制しました。チームは不運にも、China Dota2 Supermajorの決勝では3-2で敗れる結果となりましたが、バンクーバーで彼らに打ち勝つことは間違いなく困難でしょう。
大会の結果だけで、Virtus.proをThe International 2018の最有力候補だとしているわけではありません。彼らは安定して、相手チームを楽に打ち負かしてきました。決勝進出に対する2.219*というオッズは低いように思われますが、もしもVirtus proが決勝に出ないようなことがあれば、驚きの事態といえるでしょう。
PSG.LGD
LGD Gamingは最近、サッカーチームのParis St. Germainとパートナー契約を結び、今年の初めにPSG.LGDを結成しました。Pro Circuitで3位までランキングを上げたこの中国のチームは、今年5月にはEPICENTER XLとMDL Changsha Majorで優勝するなど、最近調子の良いところを見せており、今年のThe Internationalで優勝しうる潜在的な能力を持っているのは確実です。PSG.LGDの大会優勝に対する現在のオッズは、4.66*です。
eスポーツのファンならほとんどの人が、いかに中国のチームが(その他のスポーツの中で特に)Dota 2で優勢な状態か、ご存じのことでしょう。中国からのチームがThe Internationalを制したことは過去に3度あり、中国チームは常に決勝大会での注目株です(ただし、2013年だけは優勝も準優勝も中国チームではありませんでした)。今大会では、最高の中国チームPSG LGDが、自身がどれほどの脅威であるかを示すことになるでしょう。
個人の能力に関して言えば、PSD LGDは、このゲームで最高のMidの1人、Somnus \ Mを擁しており、また、fyはDota 2のドリームチームでぜひポジション4に置きたい人気のプレイヤーです。
Team Liquid
昨年の覇者Team Liquid(5.02*)は、The Internationalで史上初の2連覇が期待されています。これまでは(特にAsia ChampionshipsとESL One Birminghamでは)期待外れの年ではありましたが、チームには、MATUMBAMAN、Miracle-、GHという、世界で5本の指に入るDota 2プレイヤーが3人がおり、ベッターに人気の選択肢となりそうです。
出場選手リストに並ぶこのようなプレイヤーに加え、Liquidの戦略的能力と強いプレッシャー下での実績も評価しなければなりません。The Internationalでは数々の波乱が起き、大会の出場経験や過去に大会を制した点が有利に働き、状況を一変させる可能性があります。
Evil Geniuses
北米からのEvil Geniusesは、これまでのところ少しばかり波に乗れないシーズンとなっており、最近はPro Circuitランキングの上位10組から外れ、北米予選を勝ち抜いての出場となります(The Internationalのアウトライトベッティングでは、オッズ8.20*で賭けられます)。
ベッターとしては、机上でチームを判断するには注意が必要ですが、過去のThe Internationalや主要タイトルの勝者が他チームよりも多い出場選手リストを見れば、Evil Geniusesを無視するのは困難です。ポジション1のカナダ人プレイヤー(Arteezy)も注目ですが、Rogers ArenaではEvil Geniusesにかなり本拠地の利が働くと思われる点にも注意しておくことが重要です。
注目の2組:NewbeeとTeam Serenity
ベッティングが示すように、The International 2018の優勝争いは三つ巴となりそうです。しかしながら、過去(特に2016年のDigital Chaosの準優勝)に見てきたように、常に、第三者が旋風を巻き起こす可能性はあります。
Newbee(13.17*)は、かつて2014年のThe Internationalを制し、今、Dota 2の世界で知らぬ者はいません。今大会の優勝候補リストのこれほどまでに低い位置にこのチームを載せるとなると、一部には驚くベッターもいるかもしれませんが、ベッティングの筆頭に上がるビッグ3に注目が注目される中、中国のチームにも潜在的なバリューがある可能性もあります。
Team Serenity(26.62*)は中国予選を勝ち抜いて、The Internationalに進出しました。このチームは昨年の9月に結成されたばかりで、そのため、実績はあまりありませんが、気配としては前途有望で、潜在的な能力を持っていることは確実です。中国全土代表に名を連ねるには早過ぎるかもしれませんが、彼らがどのように事を運んでいくか、見ていて面白いことになるのは間違いありません。
The Internationalへのベッティングは過去最大に
ピナクルは常にeスポーツベッティングのリーダーとして知られていますが、今年のThe Internationalにおける多彩な市場の種類や増額した上限金額は、Dota 2がいかに人気の高いベッティングになってきたかを示すものです。ピナクルはThe International 2018の決勝に対する上限金額として、驚きの$250,000を提示しています。
アウトライトウィナーオッズ以外にも、ベッターは決勝に進むと思うチーム、あるいは、大会全体での最高GMP、最大キル数、最高XP、最大ラストヒット数なども選択できます。大会中の試合はすべて、プレゲームベッティングとライブベッティングが可能であり、また、すべての試合に賭けることも、特定の試合においてゲーム全体の合計キルプロップ数にライブベットすることも可能です。